技法:エングレービング
2017年07月24日
2006年11月05日
海外レポート・フィンランド
ユヴァスキュラ市美術館の版画センター/GRAFIIKKAKESKUS
こんにちは。そぶえながらです。(そぶえ←名字、ながら←名前です。よろしく。)今回は私がレポートを担当します。
10月下旬にフィンランドを旅行してきました。紅葉ならぬ黄葉が美しい季節です。訪れたのはヘルシンキ、フィスカルス、タンペレ、ユヴァスキュラ。教育機関や図書館、版画工房の見学そして観光。充実の10日間でした。その中での一日をご紹介します。
10月23日(月)曇り・小雨・8℃
ヘルシンキから列車で約3時間、ユヴァスキュラ駅前にある版画工房でお仕事・制作をされている石山直司さんを訪ね工房を見学させてもらいました。
ユヴァスキュラは初雪が降ったばかりとのことでしたが建物の中はどこも暖かく快適です。雨にぬれても暖房のおかげですぐに乾いてしまいます。
←版画センター入口。
←図書室。同じフロアにギャラリーとショップがあります。
初めての国とは思えない工房の慣れ親しんだ風景…プレス機、インク、腐食液、銅版…同じにおいがします。作業服の白衣をつけたグループが制作中で、グランドを真剣な表情で塗っている姿にうれしくなってしまいました。ノントクシック(非毒性凹版画)のいいところと伝統技法とを合わせていく。そんな柔軟な表現方法をこの工房では取り入れているようです。溶剤を比較的おだやかなランプオイルやアルコールに切り替えて、換気には気を配る。アクアチントボックスもあり、アクリル系グランドを吹き付けるためのエアブラシもあります。日本製の水性グランドも使用しているとのこと。版を乾かすためのドライヤーボックスは、以前北山銅版画室で見せてもらったノントクシック技法のDVDにあった形。乾きが遅いのは湿気が多い日本だからかと思っていましたが、版を熱して水分をとばすこともあるそうです。
←フィンランド製のプレス機。電動。
←タテ型腐蝕タンク。(蓋を開けているのが石山さん。ケータイカメラで撮影中のそぶえ。)
←インク練り台の上の寒冷紗?
←ウエス代わりの繊維のかたまりのようなもの。ほぐして使います。
←シノール(アルコール)
←ランプオイル(テレピン)嗅いでみました。うん、きつくないです。
版を洗うためには酢と塩。スーパーには寿司海苔や箸の日本食コーナーもありましたが、醤油は高い。ウエスも高いそうです。
ここでちょっと物価の話。コーヒー2ユーロ、ヘルシンキの公共トイレ1ユーロ、でした。1ユーロ=150円。消費税は20%くらい。版画センターは工房+宿泊で1週間100ユーロ。ん?ユースホステルでも4泊100ユーロですよ。安いじゃないですか。フィンランドは学費が無料なんですよね。何にお金をかけるのか考えさせられます。
興味がつきないまま見たり聞いたりで気がつけば3時間!額縁屋さんを待たせてしまい、仕事のじゃまをしたうえにお昼のじゃままでしてしまってほんとすみません。主任学芸員のユッカさんすてきな方でした。とても偉い方なのに気さくです。このお礼にできることといったらこうやって銅版画のあれこれについて日本でひろめていくことでしょうか。
←額縁屋さんのお兄さんと人なつっこいワンちゃん。
こちらの工房では銅版画だけでなくシルクスクリーン、リトグラフ、木版の制作もできます。ゲストルームでの滞在も可能です。
フィンランドへは直行便で約10時間。地球儀の上から見ると意外に近いでしょ。次回は制作旅行にしたいと真剣に考え中です。
☆石山さんのHP(来年個展開催予定!)
http://www.kolumbus.fi/naoji/index.htm
☆版画工房(この日本語ページは石山さん作。フィンランドの方はみなさん英語が達者。それにひきかえ英単語しかしゃべれない私にはありがたいページです。)
http://www3.jkl.fi/taidemuseo/japanese/grakeskus.htm
☆カウニス・マーラ フィンランドインフォメーション(地下鉄烏丸線 国際会館駅すぐのカフェと雑貨のお店。フィンランド情報はここで仕入れました。)
http://www.hokuo-seikatsu.com/shop20.php
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