2010年08月18日

マーニックス氏のワークショップから学んだこと

ノントクシックの凹版画制作では、アクリル系の水性グランドを使用するために以下の3つがキーポイントになります。
degrease : 銅版の脱脂
deoxidize : 銅版を酸化させない
hardening : グランドを完全に乾かして硬くする

北山銅版画室では、脱脂はクリームクレンザー(ジフなど)とスポンジでしていましたが、醤油でも脱脂できます。
醤油を版に少し垂らして、水分をよく切ったスポンジで表面を拭くようにして脱脂。水洗。そしてホットプレートなどで乾燥。グランド塗布。
10-8-15d.jpg

ハードグランドは、ホームセンターで販売しているフローリングの床をコーティングする床用ワックスで代用できます。
10-8-15a.jpg
左:USAで販売されているFuture。(ヨーロッパでも名前が違いますが、同じ製品があります。)
右:日本ではホームセンターなどで同種の床用ワックスを購入できます。(Futureは日本では販売されていません。)

10-8-15c.jpg
マーニックスさんは、今回のワークショップでは、リンレイのハイテクフローリングコートを使用。

hg5712w.jpg
北山銅版画室では、Z*ACRYL HARDGROUND EMULSION 流し引き用ハードグランドを水で1.5倍に希釈して使用。
http://www.hanga.info/shop-hardground.html
アクアチントはZ*ACRYL HARDGROUND EMULSIONを(そのまま原液で希釈しないで)エアーブラシを使用して銅版に細かい霧状になるように吹き付けます。

これ以外のグランド。
私が見つけたグランドです。
http://hanga.seesaa.net/category/6284639-1.html


ソフトグランド
北山銅版画室のブログでも紹介していた方法です。
http://hanga.seesaa.net/article/39903598.html

 
<材料>
150g bee wax ― 蜜蝋
75g resin colofonium (used for tradicional aquatint) ― 松脂
500g black lithographic ink ― 黒色のリトグラフインク
150g lard ― ラード
 
湯煎で蜜蝋と松脂を溶かし、その次にインクを入れよくかき混ぜ、最後にラードを入れ完全に溶かす。

リトインクはシャルボネールのものが一番よいようだということでした。 (Charbonnel Litho Inks Noir Vignetteq)
日本ではこのインクは入手しにくいようなので、私はサクラ版画絵具油性BLACKで作りました。少し柔らかすぎるかな?
晒しミツロウ(クサカベ)
松やに(新日本造形)
サクラ版画絵具油性BLACK
ラード(雪印、チューブ入り)

ソフトグランド用の腐蝕液。
ソフトグランドの場合は、塩化第二鉄液 3に対して、水 7で希釈した腐蝕液に30分ほど浸けます。
ハードグランドに使う腐蝕液では強すぎるので、ソフトグランドが剥がれてしまいます。
エジンバラエッチ液では、エジンバラエッチ液 1に対して、水 2弱で希釈し、20分程腐蝕。


その他のこと。

銅板は、0.5mm厚を使用されていました。近年、金属の価格上昇で、銅板も一昔前に比べて高くなっています。私は、0.8mm厚をずっと使用していますが、経済的には、0.5mm厚もありかな。

版の汚れの除去や、油性インクの掃除には、サラダ油と水と食器用洗剤をそれぞれ1/3づつ混ぜたものを使用。私は、今までサラダ油だけで拭き取っていましたが、早速これも作ってみました。
上記のサラダ油と水と食器用洗剤を1容量づつ混ぜ合わせたものよりも、サラダ油単独で使用する方が、汚れがよく落ちるので、現在は混ぜ合わせたものは使用していません。(2010年11月27日記載
posted by Studio at 02:00 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 新・版画材料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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