日本海に面した香住は京都市内から車で4時間ほどかかりました。結構遠いです。
行ったのは3月29日。この日が円山応挙の現物のふすま絵(障壁画)165面が見られる最後の日でした。何年か前に博物館の展覧会でここにある一部を見たことはあったのですが、まあこういう機会はこれからもあるでしょうが、部屋にはまっているふすま絵を見られるのが最後ということです。これからはこれらの絵はすべて写真撮影されたデジタルデータからプリントアウトされたレプリカに置き換わるらしいです。
仏間の十一面観世音菩薩を中心にそれぞれの部屋という空間を曼荼羅として立体的に具現化しているそうです。
写真撮影してそれをプリントアウトしたレプリカもありましたが、見比べると固いカチッとした感じです。本物はやわらかくふっくら感じられました。博物館などではガラス越しにしか見ることが出来ませんが、この時はまさに生で見れました。
いろんな仕掛けがあることにも驚いた。鯉は近づくと逃げて行くように見えたり、可愛い子犬はどの位置から見ても目が合うように描かれていたり、また、ふすまを開けても閉めても破綻の無いように描かれていたり、部屋の外の景観や庭(小堀遠州作)に繋がるように描かれていたりと。
金箔に描かれた水墨画は数種類の墨を使い分けてあり松の葉が青く見えたり、電気を消して自然光で見ると墨の濃淡がより浮かび上がって、金箔の光も厳かに感じられ孔雀の存在感が気高く感じられました。
以前からこの寺のことを知っていたら毎年でも見に行って一日中光の移ろいの中で眺めていたかった。
帰りは日本海を眺めながら香住漁港でかにを食べて、酒の肴と酒蔵があったので香住鶴というお酒を買って帰りました。酒蔵では試飲も出来ますが酒好きがうっかり車で来ていることを忘れて試飲しそうになり注意されました。
大乗寺のホームページ http://www.daijyoji.or.jp/main/