2006年07月25日

新しいフォトエッチング

PHOTOPOLYMER FILM
フォトポリマーフィルム”ってご存知ですか?
「感光性樹脂フィルム」と訳しています。

これでフォトエッチングができます。(手描きのイメージに加え、写真やCGのイメージを使った表現などが出来ます。)

もともとは産業界で半導体分野や印刷分野での需要に応えてきたものを芸術(版画)に転用したものです。

今までは、銅版画の中で写真製版の技法は手が出しにくいと思っていた人にとってもより身近かになるのではないでしょうか。

従来、銅版画でフォトエッチングをする場合は、感光液やシンナー、現像液、剥膜液などの有毒で引火性のある液体の使用が不可欠でしたが、フォトポリマーフィルムを使えばずっと安全に作業でき廃液処分に困ったり環境を汚染することもありません。特に大掛かりな設備も無く作業できます。何よりも自分自身の健康被害の心配がなく、また周囲の空気を汚染することもありません。

[原理] 
光が照たると硬化するフォトポリマーの性質を利用しています。

[方法]
1. 原稿には透明なフィルムやOHPシートなどにモノクロでプリントアウトした写真やCGイメージ、または手描きのイメージなど、光を通す部分と遮断する部分があるポジフィルムを使います。

2. フォトポリマーフィルを銅版に貼付けます。

3. 原稿をフォトポリマーフィルの上に密着させて紫外線を照てます。

PHOTOPOLYMER FILM3.gif

ー図の解説ー
1) 紫外線で露光する。紫外線が照射された部分のフォトポリマーフィルムは硬化する。
2) 1%の炭酸ナトリウム水溶液で現像すると紫外線が照射されなかった部分のフォトポリマーフィルムは溶けてしまう。

A. 銅版を腐食させる場合は、フォトポリマーフィルムが防蝕のグランドの役目を果たします。
B. フォトポリマーフィルム自体に凹凸が出来るためそのままインクを詰めて印刷することもできます。腐食しない場合は、固い支持体であれば銅板以外のものを使うことも出来ます。

紫外線露光機はケミカルランプをつなぎ合わせて自作可能。
ケミカルランプは人体に有害な範囲の紫外線をカットしてありますが、目のためにあまり直視しない方がいいと思います。
太陽光でも露光できますが、光量(紫外線量)の把握が出来ないので自然まかせということになります。 

作業は初めはうまくいかないかもしれませんが、慣れればうまく出来るようになると思います。

カテゴリ>フォトポリマーもご覧ください。

使用方法の詳細はこちらをご覧下さい。


posted by Studio at 10:56 | 京都 🌁 | Comment(0) | TrackBack(1) | フォトポリマー(写真製版) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月24日

安全な植物バイオ溶剤

従来、伝統的に銅版画制作には油性の材料が使われます。版に塗布する防食剤のグランドや裏止めニス、それに印刷には油性インク。行程の中で当然これらを除去し、また拭き取る作業が欠かせません。

そのために使用されるのがベンジン(ホワイトガソリン)や灯油などの有機溶剤です。リグロインは商品名でベンジンとほぼ同じものと考えられます。

しかし、このような溶剤を使うのは危険です。
有毒化学物質を含んでいるため、健康被害が起こる可能性があります。
また、火気に対しても危険です。

(毒性についてはリグロインやベンジンで検索して確かめてみて下さい。ここは最近見つけました→http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1972790眼鏡

黒ハートそこでお薦めしたいのがこの植物バイオ溶剤です。
D*SOLVE インククリーナー
-健康と環境に安全な革命的なバイオベースの溶剤-
d-solve.jpgトウモロコシや大豆から作られています。匂いは柑橘系です。
安心して使用できます。
ぜひ一度お試しください。
油性インクはもちろん、グランドも裏止めニスもきれいに除去できます。

- - -
私自信もこれらベンジンなどの有機溶剤を使うのが当たり前のこととして長年使っていました。ベンジンをドボドボ多量に使用し、版をきれいに拭いていました。大きい版ともなるとその量もさらに増えます。

ツンとくる独特の臭いもいつしか気にならなくなってしまうものです。
指についたインクもベンジンをしみ込ませたウエスで拭き取っていました。ふらふら

暫く制作から遠ざかって久しぶりにベンジンを使うと身体がだるくなったり、頭痛になることもありました。
版に顔を近づけて拭いていると目が痛くなり涙が出ることもあります。もうやだ〜(悲しい顔)

このような症状は子供ではさらに顕著です。

止む終えず使用する場合はよく換気し、十分注意する必要があります。

「健康な制作環境について」は北山銅版画室のホームページにも書いていますのでどうぞ。
posted by Studio at 17:28 | 京都 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 新・版画材料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月22日

アクリル・リフトグランド

アクリル水性グランドを使用したリフトグランドを紹介します。(*1)

版画用油性インクにオリーブ油を少量混ぜたもので版に筆などで描画します。(*2)
olive2.jpg olive.jpg

byuga2.jpg byoga.jpg

アクリル水性グランド流し引きするか、または、エアーブラシで吹き付けて全面マスキングします。
airbr.jpg

電熱器(ウォーマー)で版を30秒〜1分加熱して完全にグランドを乾かします。

サラダ油を版につけて、ウエスで油性インクを拭き取ります。

描画した部分がグランドとともに除去されて銅の表面が現れます。

食器洗いに使う洗剤とスポンジで版を水洗します。

クレンザーとスポンジで版を洗い脱脂します。

版を腐蝕液に数秒浸けて描画部分が確実に腐食するか確かめます。

このまま腐食を続けるとディープエッチングになりますが、アクアチントを施すために、
版に醤油をかけることで中和すると同時に酸化膜も除去します。念のためクレンザーを含んだスポンジで洗い、脱脂します。


アクリル水性グランドを使用したアクアチント

エアーブラシを使い、版にアクリル水性グランドの細かい粒ができるように吹き付けます。
airbr2.jpg

電熱器(ウォーマー)で版を30秒〜1分加熱して完全にグランドを乾かします。

タテ型腐蝕タンクに入れたエジンバラエッチ液で3分間腐食しました。
aqua.jpg

炭酸ナトリウム水溶液に5〜10分浸してアクリル水性グランドを除去します。
h722-1.jpg

試し刷り
harumi7-22.jpg



(*1)伝統的技法では、砂糖の飽和溶液に墨とアラビアゴムを混ぜたものなどを用いて版に描画し、その後、伝統的なグランド(アスファルトを原料とした油性)を流し引きします。

(*2)グランドを流し引きした時に、描画した油性インクが軟らかいなどの原因で、もし少し流れるところがあるときは、冷蔵庫で版を冷やせば描画部分が固くなります。

posted by Studio at 19:58 | 京都 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | リフトグランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月08日

タイトル:”キノコ”

定期6回クラスに参加されている春海さん、今日は4回目。
前回からの続きの作業です。

ラインエッチングとアクアチントを併用しています。

アクアチントのグラデーションをきれいに作るのに苦心しながら試刷りを繰り返し、徐々に出来上がりました。

アクアチントの方法は、Z*ACRYL水性グランドをエアーブラシで吹き付けて作ります。

グラデーションは、タテ型タンクで版を上下に動かしながら、腐蝕液に完全に浸からない範囲が出来るようにして腐食。

その後、バニッシャーやルーレット、スチールウールで擦ったり、磨いたりしながらアクアチントの調子を整え、なんとか仕上がりました。

始めの段階では腐食時間を間違えたり、要領を得なかったためにグラデーションを失敗してどうなるかと思いましたが、なんとか出来てこちらもホッとしました。

バニッシャーで版を磨く。手前に見えるのはスチールウール。
ha4.jpg

寒冷紗でインクの拭き取り。
ha2.jpg

ロール紙でさらに拭き取る。
ha3.jpg

刷り上がった作品を板に水張り。
ha1.jpg

出来上がり。
タイトル:キノコ
ha.jpg


次回は、アクリル水性グランドを使うリフトグランドに挑戦です。

エアーブラシによるアクアチントの方法については、今回は写真を撮ってなかったので日を改めて説明します。



6 回 ク ラ ス
健康・環境に優しい 
アクリル水性グランド使用。 石油系溶剤は使用しません。
全6回 - 予約制。 1回 3時間。
作品3点制作

カリキュラムにそって作業を進め銅版画の作り方を理解できます。
材料は教室で用意しますので買い集める手間もなく気軽にお越し頂けます。
ドライポイント、エッチング、アクアチント、リフトグランドエッチングなどの技法を使って作品3点制作します。
posted by Studio at 18:12 | 京都 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | アクアチント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月07日

デンマーク製腐蝕タンク

やっとオランダからデンマーク製のタテ型腐蝕タンクが届きました。今回は1台だけだったのですが、船便での輸入なので受け取るまでやはり2ヶ月弱かかりました。
このタンクはかなり大きくて最大 83.5×57.0 (cm) の版が入ります。
写真はZ*ACRYLタテ型腐蝕タンク(アメリカ製)との比較。<右:デンマーク製>
立てかけてあるのはタンクの蓋です。

den-tank.jpg

この2台ともタンクの構造はシームレスで、部厚く設計されています。これは、塩化第二鉄液は水よりも比重が重く、その圧力に耐えられる丈夫な構造でなければならないためです。
液圧による液漏れやタンクの破損がおこらない安全設計と、タンクの側壁の膨らみを抑え、倒れないように安定した構造が必要です。

”デンマーク製タテ型腐食タンク”について
posted by Studio at 10:39 | 京都 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 新・版画材料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月05日

タテ型腐蝕タンク&タンクインサート

z-t.jpg
タテ型腐蝕タンク

銅版画スタジオの中で一般に使用されている水平のトレイバットスタイルの理想的な代わりとなります。

従来の腐蝕バットと”タテ形腐蝕タンク”を比較した場合、80%もより少ないスタジオ・スペースで済み、また蒸発にさらされる面積も95%も少なく押さえられます。

その上、水平のトレイバットはこぼすことなく空にしたり移動するのはほとんど不可能ですが、”タテ型腐蝕タンク”は、安全にスタジオ内を移動させることができます。

ひらめき使いやすい

●版の出し入れがしやすく、腐食液の中に指を浸ける必要もありません。

●最大45.5cm x 60.5cmのプレート(銅版)を同時に2枚挿入、あるいは多くの小さなプレートを同時に挿入できます。

●小さなプレートの腐蝕用には、タンクインサートが便利です。(30〜33cmx22.5cm 以下ののプレートが入ります)大きなタンクの内部にセットできます。

●蒸発防止のふた付き。

●タテ型腐蝕タンクは単に作業スペースを減らすだけでなく、空気に触れる面積が少なく腐蝕液の蒸発量も減らし、暴露防止にも有効です。


使用方法

塩化第二鉄や硝酸など一般的な腐蝕液を使用できます。

●このタンクは満タンで約14L〜15Lの腐蝕液が入り、45.5cm×60.5cmの版を一度に2枚腐食できます。

もちろん、いずれの大きさの版も腐蝕液に十分浸かるだけの高さに腐蝕液をタンクに注げば良いです。

[版を腐食する]
ビニールテープで「ハンガー」を作って版をタンクの側面に吊るします。

「ハンガー」はプラスチックの洗濯バサミやクリップでタンクに付けて吊るします。
tank3.gif    tank1.gif

[タンクを空にする]
四角のコーナー(フレアーで無い側)から別の容器に注ぎ移します。
タンクが一杯のときは、広いジョウゴを移し換える容器に入れて注いで下さい。
また、ポンプ(灯油を入れるのに使う)を使えば簡単に安全に移し換えることが出来ます。


z-in.jpg
タンクインサート

●タンクインサートは、大きなタンクの中にきちんとフィットします。
大きなタンクの腐食液を空にした状態でタンクインサートをセットします。

●タンクインサートを倒れないように固定すれば大きなタンクの中に入れなくても単独で使用できます。

●22.5cm×30〜33cm以下の版を腐食するときに理想的です。腐蝕液は満タンで約4L入ります。

●大変簡単に腐蝕液を別容器に注いで空にすることができる上部の成形になっています。


Z*ACRYLタテ型腐蝕タンク

お問い合わせ:Safer Intaglio Studio 北山銅版画室
posted by Studio at 14:16 | 京都 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 新・版画材料 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月03日

ベンシャーンの空

版画専門のギャラリー ”京都・アートゾーン神楽岡” でベンシャーンとカルダーのリトグラフの作品を見ました。


帰り道、
暫くすると雲行きが怪しくなり暗くなって来た。空を見上げて、
さっき見たベンシャーンの絵を思い出した。

ベンシャーンの空 ・・?
ben.jpg

ベン・シャーンはシンプルだけどなんか不思議な暖かみのある線と色。そんな作品が並んでいました。
posted by Studio at 20:36 | 京都 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 展覧会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月02日

草花を銅版画で

ひと月に1回くらいのペースで6月から制作に来られています。
今日は2回目。前回の版は腐食時間が少し短かったためにイメージ通りの線の濃さがでなかった。もう一度始めから作り直し。

モチーフは可愛い野草です。スケッチをもとに銅版画に挑戦されています。
f4.jpg

Z*Acryl水性グランドを塗布後、ニードルで描画。銅版も可愛いサイズです。
f8.jpg

版の裏にセロテープをひも状に貼って、タテ型腐蝕タンクに吊るして腐食します。
f6.jpg f9.jpg

腐食後、炭酸ナトリウム水溶液でグランドを除去し、刷り。
y3.jpg y2.jpg

今回はイメージ通りの線が出せたでしょうか? 今後どのように展開されるのかが楽しみです。
y1.jpg




チケット制クラスでは、回数券 (無期限)で ご都合にあわせて 利用できます。1回:5時間まで 
健康・環境に優しいアクリル水性グランドを使用し、石油系溶剤の代わりにサラダ油や植物バイオ溶剤を使用。
・初心者 はカリキュラムにそっていくつかの技法を用いて制作していきます。 
・経験者 はカリキュラムに関係なく制作できます。適宜指導アドバイスします。
posted by Studio at 20:58 | 京都 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | エッチング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

 

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